屋外でも使用可能!エチレン・プロピレンゴム(EPDM)って?
はじめに
「せっかくゴム製品を使ったのに、すぐにボロボロになってしまった…」
そんな経験、ありませんか?
屋外で使うゴム製品が早く劣化してしまう原因は、紫外線や雨風、温度差など過酷な環境にさらされているからです。とくに屋外用途では、耐候性の高い素材選びがとても重要になります。
そこで注目されているのが、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)。耐候性・耐熱性・耐オゾン性に優れ、屋外使用に最適なゴム材料として、近年さまざまな分野で活用されています。この記事では、EPDMの特性やメリット・デメリット、代表的な用途について、工業系に詳しくない方にも分かりやすくご紹介します。
EPDMってどんなゴム?
EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer/エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム)は、合成ゴムの一種で、特に屋外環境での使用に適しています。EPDMは「エチレン」と「プロピレン」を主成分とし、そこにジエンという第三成分を加えることで**架橋性(ゴムとしての弾力や強度)**が高められています。
▼EPDMの主な特性を表で見てみましょう
特性 | 評価(★5段階) | 説明 |
---|---|---|
機械的強度 | ★★★☆☆ | 適度な強度があり、多くの用途で十分な耐久性を発揮 |
耐熱性 | ★★★★☆ | 約130℃まで対応可能で高温環境にも強い |
耐薬品性 | ★★★★☆ | 多くの薬品に対して耐性があり、劣化しにくい |
耐候性 | ★★★★★ | 紫外線やオゾン、雨風など屋外環境での耐久性が非常に高い |
耐寒性 | ★★★★☆ | 低温環境でも硬化しにくく、柔軟性を保つ |
耐油性 | ★★★★☆ | 鉱物油や油脂類には弱いため、油がかかる環境には不向き |
このようにEPDMは、「屋外で長く使えること」が求められる製品にぴったりな素材なのです。
どんな場面で使われているの?
EPDMはその特性を活かし、さまざまな分野で使われています。
たとえば…
・住宅設備部材:サッシやドアの気密パッキン、防水シール
・自動車部品:ドアモール、ウィンドウシール、ラジエーターホース
・建築土木資材:屋上防水材、舗装材の目地材、橋梁の伸縮ゴム
・家電製品:防水パッキン、絶縁材
・太陽光発電設備:架台周辺のゴム部品
特に「紫外線や雨にさらされる場所」「温度差が激しい場所」では、EPDMの性能が大いに活きてきます。こうした点から、EPDMは屋外対応のゴム部品として定番素材となってきています。
EPDMのメリットと注意点
◎メリット
・優れた耐候性と耐熱性
・長期間使用でも硬化やひび割れが起きにくい
・比較的安価で安定供給されやすい
△注意点
・耐油性が低いため、油や溶剤がかかる環境では不向き
・耐摩耗性は天然ゴムなどに劣る
・接着加工には工夫が必要な場合がある
「油を使う現場ならNBR」「耐熱性がさらに必要ならシリコンゴム」など、使用環境に合わせた素材選びが重要です。
まとめ
EPDM(エチレン・プロピレンゴム)は、屋外環境に強いゴム素材として、多くの分野で活躍しています。とくに耐候性・耐オゾン性に優れており、長期的に安定して使えることが最大の強みです。一方で、耐油性には課題があるため、使う場所・環境をきちんと把握し、適材適所での選定が重要です。
もし「どの素材を使えば良いか分からない」「EPDMを加工したい」といったお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。専門的な視点で、最適な素材や加工方法をご提案させていただきます。
お問い合わせはこちら