ゴムやスポンジの⼿加⼯について

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はじめに

ゴムやスポンジ製品の加工現場では、今や高度なNCカッターやカッティングプロッター、レーザー加工機など、さまざまな最新機械が導入されています。しかし、こんな疑問を抱いたことはありませんか?

「機械化が進んでいるなら、手加工の技術ってもういらないのでは?」

実はその逆で、ゴム加工やスポンジ加工の世界では、いまなお“手加工”が重要な役割を担っているのです。なぜ今もカッターナイフによる手作業が必要とされるのか──この記事ではその理由と魅力、そして手加工の価値について解説していきます。

手加工とは?カッターナイフ1本で形を作る技術

手加工とは、主にカッターナイフやハサミ、簡易な治具などを使って行うゴム・スポンジの加工方法です。厚み調整、面取り、角出し、カットラインの微調整など、職人の感覚と経験が頼りとなる工程です。

弊社では特に以下のような手加工技術を駆使しています。

カッターナイフによる材料の切断(直線・曲線ともに対応)
ベルトグラインダーを使用したC面取り・R面取り
紙やすりによるエッジの仕上げや寸法の微調整

これらの作業は、図面では指示しきれない細かな“ニュアンス”を実現できるのが特長です。

昔ながらの加工エピソード

ちなみに、ひと昔前までは、数十ミリの厚みがあるスポンジやゴムをカッターナイフ1本で切断していたのをご存知でしょうか?力加減や刃の角度を調整しながら、何度も刃を通すことで、分厚い素材でも綺麗に切ることができたのです。

また、リング形状のカットは大きなコンパスに刃を取り付け、手で回しながら切り抜いていたという職人技もありました。こうしたエピソードは、今も現場で語り継がれています。

主な手加工内容

加工内容使用工具対象素材
ストレートカットカッターナイフスポンジ・軟質ゴム
面取り(C・R)ベルトグラインダー各種ゴム素材
微調整紙やすり・カッターナイフ成形済み部品・発泡材
リング加工手動コンパス+刃スポンジ・薄ゴム材

「手加工の技術」をベースにした機械加工

実は私たちが日々活用しているカッティングマシンやプロッターも、手加工の技術をベースに設計されています。カッターの刃の入り方、押し引きの感覚、切断のスピード…。これらはすべて、職人の「手の動き」からヒントを得ています。

つまり、最新機械は手作業の再現”を目指して作られているのです。

手加工が機械加工より早い場面もある!

一見、すべての加工を機械で行えば効率的に思えますが、実は手加工のほうが早いケースも多々あります。たとえば以下のような場面です。

・単純な形状の1〜2個の試作
・寸法微調整が頻繁に必要なとき
・加工中に現場で仕様変更が入ったとき

特に弊社では、手加工の技術が現場に常に備わっているため、状況に応じた即対応が可能です。手加工なら「サッと切って、ハイ完成」。このスピードと柔軟性は、機械加工だけでは実現できません

まとめ

どれだけ新しい工作機械や加工設備が登場しても、ゴムやスポンジの加工現場では“手加工”の技術が今もベースとして息づいています。昔ながらの職人は、厚みのある素材を手で切り、コンパスでリングを描き、手の感覚だけで精密な形状を生み出してきました。その延長線上に、今の私たちの加工技術があります。

カッターナイフによる切断、ベルトグラインダーでの面取り、紙やすりでの微調整──これら一つひとつの工程に、職人の経験と判断が詰まっています。機械加工の精度とスピード、そして手加工の柔軟性と瞬発力。その両方を使いこなせることが、私たちの強みです。

「手でできる」からこそ、「機械で再現できる」。そして、「手のほうが早い」こともある。
この選択肢があるからこそ、私たちはあらゆる加工ニーズに応えることができるのです。

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